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 その壱・道具

【道具への思い】
ものづくり職人の“技“を生み出す道具たち

道具は命!手人が一番大切にするもの

手人たちの手仕事を支えているのが道具である。一生ものなのです。

ものづくりの世界では、自ら道具を作るのが職人の第一歩である。

ジュエリーの加工においては、やっとこで曲げたり、金槌でたたいたり、線引き版で線を引いたり糸鋸で切ったり、鑢で削ったり,バーナーで溶接したり柔らかくしたりと、色々な道具を使い分ける。毎日毎日使い込み、時間をかけて練習するほど手に馴染む。道具を知り尽くし、自分の体の一部のように使いこなしてこそ繊細な“技”が生まれる。

己を磨くように道具を磨き、技術を磨く。

それが手人である。

 その弐・火

【火の重要性】


火を使いこなせてこそ
   素晴らしいものづくりができる。

人類がいつ頃から「火」を使い始めたのか、はっきりしたことは解っていない。しかし、今、私達人類に「火」は必要不可欠な物である。調理、農業、工業とあらゆる職業で使われている。もちろん、ものづくりの場においても同じなのだ。

一つ例を出せば「ロウ付け」という作業がある。

金属と金属をロウと呼ばれる合金を接着剤として溶接する(くっつける)工程だ。金属と融点(ものが溶ける温度)の違いを利用して溶接していく。ガスバーナー(シルバー・ゴールド)と酸素バーナー(プラチナ)を使い分け、ガスでは約1300℃、酸素では2500℃にもなる「火」を巧みに使うのだ。

ガス(火全体の大きさ)と空気(火の細さ)を調整し、火の大きさをコントロール出来なければならない。それに加え、温度のコントロールも必要になってくる。ロウ材は熱い方へ流れる特徴があるため、接合面にキレイに流すには「温度コントロール」が重要なのだ。

それに合わせて理解したいのが「毛細管現象」「熱伝導率」「地金特性」である。

それに「火の大きさ」「温度」。これらを考えないと、うまく「温度コントロール」出来ず、ロウを的確な場所に流せない。他にも、フラックスの3段変化やロウを置く位置、ロウの量、固定方法など考えなければならないことがある。

ロウ付けを例に出したが、その他にもバーナーで熱を加えて軟らかくすることで作業をやりやすくする為の工程である「焼きなまし」などがある。

こうしたように、ものづくりに「火」は重要なものである。

「火」を使いこなせてこそ手人である。

 その参・集中力

【集中力の敵は雑念】

ものづくりに精神を集中する。

学業や仕事やスポーツなど、あらゆる場面で集中力は重要な要素となっており、集中力の有無が成否を左右するということが多々ある。

人間の集中力は長くて90分程度、平均で50分ぐらいしか継続しないと言われているなかで、ものづくりは頭でわかっている事を形に変える、デザインした事を実際に作り上げる作業である。その工程は多岐にわたり、細かな作業を繰り返して、一つの作品を仕上げる。職人の仕事はその一つ一つの工程を完璧に行い、次の工程へと進んでいく。そのすべての工程がきっちりと出来なければならず、集中力を切らさないメンタルと、粘り強い体力が必要となってくる。しかもそれに加えて、納期という時間との闘いもあり、時間に追われながら妥協することなく完璧な作業をしなければならない。

どんな業界の職人も同じだが、持続する集中力ほど大事なものである。

それも手人の大事な能力のひとつなのです。